Violetのマッサージとは、どんなものなのか、頭(理論)と体(実践、練習)で理解していきましょう。

 


マッサージには様々な種類があり、どれがよいのか、どうすれば早く上達できるのか、答えが見つけにくいものです。具体的に習得という状態がわかりにくいという問題点を解決する方法、それがマッサージを理論から学ぶということ。マッサージ理論を難しいものと考えず、小さなルールの積み重ねと認識し、理解、納得できたものから取り入れていくというスタイルが、結局、練習時間を多く取るより、上達の圧倒的な近道となります。
理論とは、本当に、難しいことでは、ありません。マッサージ全般において、これは気にしておこうというルールを作っていくだけです。このマッサージのルール作りを積み上げていくことが、そのルール作りに必要なマッサージにおける体の使い方(ボディメカニクス)習得、体の仕組みを理解する(解剖学への興味)にもつながっていきます。
 
 

 全てのマッサージのアクションを方向性、重みがある圧と想定することが出来ます。

 

方向性を持った圧が発生しないマッサージはないので、この圧の細やかな調整の為の体の使い方をボディメカニクスといいます。ボディメカニクスは、マッサージ分野に限らず、スポーツ、ダンスや武道、日常においては、仕事、家事にも、共通して言えることで、得意な理論ではありません。マッサージボディメカニクスを一つずつ習得していけば、スポーツや日常生活でも、体を効率よく使うことができるようになり、予想をはるかに上回るメリットがあるので、それを実感できれば、ますます、マッサージの上達が楽しいものとなります。

 圧に関して、最初に考えるべきポイントをピックアップします。

 

圧の方向・圧を加える、もしくは、抜くスピードに関する基本ルール・・・マッサージ圧を加える対象は筋肉です。筋肉に対して正しいとされる方向は、垂直圧とされています。垂直という方向がなぜよいのか、それは単に組織がつぶされないために一番適している方向ということです。言い換えれば、もみ返しといわれるような症状は、セラピストが圧の方向などのルールが徹底出来ずに、筋肉組織を壊しているといえます。人間の体は全て曲線で出来ていますので、常に方向調整を行わなければなりません。
方向が正しいとされるときの見極め方は、圧を加え始めた時、思っていた方向に筋肉が圧を受け入れてくれているか、間違えていたなら、途中で、嫌がって
筋肉に力が入り、跳ね返そうとしてきます。ストロークの途中の場合は、筋肉に圧が届いているというよりは、表面の皮膚を動かしているような感覚になれば、圧の方向が明らかに浅いということです。圧を抜く位置では、筋肉の弾力に合わせて圧を抜いていきます。早すぎると筋肉はびっくりしたような反応でやはり、若干の力が入ってしまいます。
★check point★
★皮膚を動かしていないか
★筋肉が嫌がる反応としての力が入っていないか

 オイルマッサージには、ストロークと圧を呼ばれる動きがあります。ストロークに関する基本のルールを見つけていきます。

 

ボディツールの使い分け・・・マッサージストロークにおいて、お客様の体に触れている部分をボディツールと呼びます。代表的なものは、手の平、親指、前腕などです。面積の広いツールはリラックスできる大きなストロークが出来る、面積の少ないツールは、圧が集中し、マッサージをしたい部位を限定し、圧を深く効かせたいというような違った特徴があるので、それぞれのツールのメリット、特徴を使い分けてマッサージストロークの流れを作ります。
ストローク全般のルール・・・オイルマッサージにおいて、ストロークは進むのみなどのルートが切れるものを作らない方が明らかに流れがあり、お客様には心地よい印象となります。ストローク全般のルールとして、進む、Uターン、戻るが基本とし、戻って、抜ける部位は体の末端とします。末端とは、足先、手先、首などです。腰や背中などでストロークが終わるととても不自然なので、抜ける部位をいつも想定に入れたストロークを作ります。
ストローク全般の圧に関する基本ルール・・・お客様に触れている部分をボディツールとするのであれば、セラピストの残りの体のどの部分も、マッサージ圧の様々な調整の為の道具であり、部分ごとに明らかに役割があります。言い換えると、ボディツール自体が圧を作ろうとすると、いわゆる手先で行うマッサージになり、圧自体も作れなく、微調整もできないので、すぐに限界が見えてきます。基本としてのルールはボディツール部分は、圧を作るものではなく、お客様に触れて、体から、方向、深さなどの微調整をして作られた圧を伝えるだけの道具と認識することが、とても重要なポイントとなります。
ストローク全般のスピードと圧に関する基本ルール・・・進む、Uターン、戻る、末端で抜けるというストロークのルールに、垂直圧を常に調整するというルールを足せば、ボディツールだけ、つまり、手先で行うマッサージをすれば、ストロークの最初の手元に近い部位はまあまあ、圧の方向もあっていて、ストロークが遠くなれば、圧の角度や深さが浅くなり、Uターン時には一番、曲線が複雑で角度調整に注意が必要であるのですが、、怠れば、ストロークが滑って早くなり、戻りストロークは、セラピストの体から遠い場所にある手先を早く戻したく、皮膚を手前に引っ張り、圧は浅いであろうという推測が簡単にできます。その悪しき推測を避けるために、マッサージストロークの根本的な基本ルールは、ストローク時にも圧の方向を常にチェックするために速度を遅くし、特に早くなるであろう、Uターンの時、戻りの時には、進むストロークより、2倍、3倍遅くスピードで、ストロークするだけでも、通常のオイルマッサージとの差別化が見込めます。
★check point★
★ボディツール自体に力を入れてマッサージ圧を作っていないか
★Uターン、戻りのストロークで方向調整が甘くなっていないか、スピードが速くなっていないか
 

 実際にマッサージにおける圧は、何なのか、考えます。

 

マッサージの圧は何か?手先の力ではなく体重では?と考える人も多いと思います。その答えは間違えているわけではないのですが、上半身を傾けることによって、かける体重なら、傾けた分だけ圧の方向もずれ、垂直圧というルールに反してしまいます。上半身を倒すことにより腰の負担は激増します。体重とされる圧が上半身を倒したものではないとするのであれば、体重らしきものは腕からおりてくるものでは?という仮説が出来ます。腕から降りてくる体重を感じ取ることが、ボディメカニクスの最初のルールとなります。
イメージとしては、ボディツールの、親指であれば、親指の二番目の節部分、手の平であれば前腕部分をハンコの軸部分と見立て、ハンコがきれいに押せるように圧を加えることが、垂直であることがわかると思います。軸自体に力を入れてマッサージをしていたなら、このイメージでの作業にかなり、違和感があるはずです。圧自体はセラピストの体幹で作られていますが、それは、応用編ボディメカニクスで説明しますので、この項においては、圧を伝える役割のボディツールがそれに徹することが出来るか、その手前の腕が体から降りてくる圧を伝えるだけの役割に徹することが出来るか、この二点に焦点を絞りたいと考えます。
★check point★
★圧を増やしたい時、体から遠いストロークの時に上半身が倒れていないか
★親指や肘などのボディツールをハンコのイメージで圧を加えることが出来るか

 ストロークのルートはお客様のお疲れの症状に合わせてであったり、有効なルート選びはマッサージパフォーマンスにとっては重要な要素です。必然的にルートは直線だけではなく、曲線が圧倒的に多いことになります。直線、曲線を描くストロークルートにも、ボディメカニクスの基本を乗せるためのルールを考えます。

 

マッサージの圧は、体幹で作られ、腕に伝えられ、ボディツールを経てお客様に伝わり、ストロークという、セラピストが考えたルートに沿って圧の方向や深さなどを調整しながら伝え続けられるものということになっています。体幹や腕、ボディツールが細心の調整で努力して伝えた圧が、複雑なルートだったり、お客様の体の曲線の為にうちけされてしまうことを防ぐには、どんなルールを足せばよいでしょうか。
それは、前の項で登場した、ハンコのイメージをさらに膨らませてみることが有効かもしれません。ハンコは止まっておりますが、ハンコのように圧により印字されるものが、印字され続けて、動いていくとすれば何を使えばよいか、ハンコの軸を倒してルートを作りますか?違いますね。たおすのではなく、軸を回転させて、つまり、腕を回転させて使います。腕は何種類かの回転が出来ます。腕自体が内回転、外回転、前腕が親指側が外方向に向かう回転、小指側が内側に向かう回転、回転を使えば腕に伝わって降りていく圧がそのまま逃げずにボディツールに伝わります。体を傾ければ、腕に伝わってきていた圧が、瞬時に抜け出てしまうことがわかりますね。まだ腕の回転ということはイメージできていない人も、この先、ボディメカニクスが応用編に突入しても、ずっと登場するルールなので、じっくり向き合ってほしいと思います。
手の平のストロークルートにおける基本ルール・・・手の平のストロークにおいても腕の回転で曲線を描くというルールはかわりませんが、器用に、勝手に動いてしまい、ただ圧を伝えるだけというシンプルなルールを無視しがちなので、基本ルールを足すことによって、手の平がもっともっと使い勝手のよいボディツールにバージョンアップします。それは、進むときには指先が先頭、戻るときには、手根部が先頭で、先頭が進むルートと同じルートを後方がついていくというものです。手の平は、小指のヘリ側、親指のヘリ側が先頭になりがちです。それは上半身の傾きを促し、手の平の中にも傾きを作ります。指側、手の平側に共通のルートを進むための車輪があるイメージがわかりやすいと思います。小指のヘリ側が先頭で進めば車輪は回らず、横滑りしていることにないます。
★check point★
★手の平をスケートのように内側から外側への曲線をイメージしてストロークを進めてみる際、親指側の手根部に圧が集中したまま、腕の回転でルートが外側に向かうことが実感できるか